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私は長年に渡りワシントン州立大学の獣医学科で仕事をしてきましたが、その中にペットロス。・パートナーシップというプログラムがありました。ボランティアのグリーフカウンセラー(悲しみを癒す専門家)がパートタイムで待機しており、重症な犬、行方不明の犬、亡くなった犬がいる場合に飼い主の気持ちを癒します。この多くは記録が残されています。カウンセラーは長年ペットを失った人の気持ちを癒しているのです。
同じような状況を犬はどう受け止めるかについて、私たちはあまり考えたことはありません。特別な犬の友達を失った時、何かを思うとすれば何を思うのかに、私は興味があります。ニューヨークのASPCAで働く友人のジャック・シュルツも、同じように興味を持っていました。ニューヨークは犬の数も多いので、彼女には多くの経験とデータがあります。私が目にしたことを、彼女も確認しています。
動物も人間と同じように悲しみを感じるようです。仲間を失くした後、数週間または数ヶ月に渡って食事や睡眠に変化がみられます。食べる量が増したり、食べなくなったり。よく鳴くようになる犬もいれば、遊びに興味を示さなくなる犬もいます。仲間を探しているような態度をみせる犬もいます。落ち着きがなくなり、集中しにくくなる犬もいます。
2頭の犬の関係というのは、犬と飼い主の関係とは異なるものです。人間や犬の家族が亡くなると、犬はうろうろ歩き回ったり、キュンキュン鳴いたり、吠えたり、破壊行動を始めたり、家の中の戸口付近でおしっこをしたりすることもあります。そういったことへの人間の反応は犬により注目することです。そうしたい気持ちはわかりますが、探したり、キュンキュン鳴いたりという行動を強化しないようにしましょう。慰めたり抱きしめたりしたい衝動を抑えます。仲間を失くしたから慰めているつもりでも、実際にはご褒美をあげているのです。あなたも落ち込んでいます。あなたの犬は、あなたが立ち直るのを助けてくれるでしょうし、あなたも犬を助けることができるのです。キュンキュン鳴く、うろうろ歩く、よだれをたらすなどの明らかなストレスのシグナルを出していない時を見つけることから始めます。ストレス行動を見せていない数分間でも十分です。この機会に犬の気を引き、遊びに誘ってください。犬の名前を呼び、そばにこさせて撫でたりマッサージをしてあげましょう。犬をそばによび、散歩やドライブにでかけましょう。その瞬間だけでも集中し、犬が楽しいと感じることをしてあげてください。
一方で、悪い行動を見逃さないでください。仲間がいなくなったせいだと、あいまいにしないようにしましょう。ある程度のストレスを感じているとは思いますが、人生にストレスはつきものです。あなたの一貫性が問われるところです。これが犬にもあなたにも必要なのです。辛抱強くいてください。たとえば、クレートでひとりぼっちで過ごす時間がいつもより長いようであれば、ある程度はそのままにしておき、その後あなたも犬も両方が楽しめることをしましょう。犬の順応性を低くみてはいけません。あなたも犬に見習うべきところがあるかもしれません。すんだことを受け入れ新しい生活になじむことは、犬のほうが上手なようです。しかしもちろん犬にも時間が必要です。
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