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「乗り物酔い」と多くの人が言いますが、実際には動くものに乗っていることで具合が悪くなるのではなく、恐怖や不安が原因なのです。
乗り物酔いとは?
体の状態。脳がさまざまなところから混乱しているというメッセージを受け取ることにより起こります。内耳の中にある液体が、あなたがどっちに動いているのかを感じとります(上、下、前、横)。同時に、どちらの方向に動いているかを目でも感じとっているのです。触覚は足が地面についているのかを、筋肉は体がどんな位置にあるのかを脳に伝えています。これらすべての情報が一致していないと、乗り物酔いがおこると言われています。人間の例でいえば、乗り物に乗っているときに本を読むと、耳は前に動いていると言い、目は1点に集中していると言うわけです。(ワシントン州立大学医学部)
不安とは?
感情の状態。不安というのは、本物のもしくは想像で不運を考えることで起きるあいまいで不快な感情。ときに脈拍や呼吸の上昇などの生理的現象をともなう、通常範囲をこえる心配や恐怖の感覚。(Merriam-Webster
Dictionary 2004)
あなたの犬
ほとんどの犬が生涯を通じ車に乗るのは問題なく過ごします。これは良いことですね。忙しい人は、旅行などに犬を連れて一緒に出かけることで、犬の生活を豊かにしてあげることができます。ちょっとしたお使いでさえ、犬の生活にとっては楽しく興味ある出来事になるのです。このように問題ない場合もあれば、最初に車に乗ったのが恐ろしい体験になっている犬もいます。例えば、新しくやってくる子犬が母犬や兄弟達から離されて、あなたの家に連れてこられた。または車に乗って獣医さんへ連れて行かれた。トリミングに連れて行かれた。ペットホテルに預けられたことで、車に対して悪い関連付けをしてしまった。
理由はともあれ、車がだめかどうかの最初にみせるサインにはこのようなものがあります。あくび、はぁはぁと息が荒くなる、よだれをたらす、きゅんきゅん鳴く、うろうろ動き回る、一ヶ所で固まる、目を見開く。早めに気づけば、犬にストレスをかけることや吐き戻しを防ぐことができます。
車内の環境
◎空気
窓をほんの少し開けて新鮮な空気をいれましょう。安全な場所で、犬を車から降ろし、リードをつけて、少しお散歩をします。犬も暑さ/寒さを感じることを忘れないでください。犬が乗っている場所の気温はどのくらいですか?犬は独特の体温調節システムをもっているので、人間よりも体温の上昇がはやいです。締め切った車に、犬だけを残していませんか?ロスアンジェルスのSPCAによれば、暑い日の車内温度は数分のうちに70度にを超えてしまうそうです。これにより、犬は(子供も)熱射病、脳障害を起こす可能性もあり死にも至ります。
◎場所、囲い
車内で自由にしている犬は運転の大きな妨げになりえます。自由にさせておくとエネルギーあふれる犬はぐるぐると動き回り疲れ果ててしまいます。また、窓から顔を出していると、目がかゆくなったり怪我をしかねません。犬用の安全ベルトを装着し、一ヶ所にいさせることもできます。こうすると犬が前を向いていられるので、車酔いを防ぎやすくなります。少なくとも開いたドアから飛び出してしまうことは防げます。より良い道具はクレートです。車の速度変化やコーナーを曲がるときなど犬が車内でずるずる滑るのを防いで、安全にいさせることができます。ワイヤー製のものは空気の通りがいいです。クレートは車の座席、ステーションワゴンやヴァンの後ろにしっかりと固定します。布で天井、脇、後ろを覆うと、方向感覚がおかしくなるのを防ぎ、車酔いを起こしにくくなります。吠えやすい犬は、車の脇をものすごい勢いで“駆け抜けていく”電信柱を見て興奮しやすくなります。犬によってはクレートを床においた方が、刺激が少なくなる分、安定します。また、外の景色を見て楽しむ犬もいます。車は中心のほうが“揺れ”が少ないです。ヴァンやステーションワゴンなど後輪駆動の車は注意してください。動くものの上にいるのを好まない犬もいます。
◎考慮すべきこと
<薬>かかりつけの獣医師に車酔いの薬を処方してくれるかきいてみましょう。ハーブ系の薬はよく勧められるようです。
万が一の場合:ドライブの前に大量の水を飲ませたり食事を与えるのは避けましょう。でも足止めをくったり、犬が喉をかわかすことも考え、水は持ってでかけます。洗濯できる敷物をしいて、車内には掃除道具をいれておきましょう。
悪い子なの?吠える、キュンキュン鳴く、落ち着かないなどの行動は、車酔いの徴候です。これに怒鳴ったり、叱るのは犬に悪い影響を与えます。犬にはなぜあなたが怒っているのか理解できないし、さらに不安をかりたてることになるでしょう!また運転の妨げにもなります。
◎さあ、到着!
犬がクレート内にいても、シートベルトをしていても、自由にしていても、車のドアを開ける前に犬にリードとカラーをつけるまで、オスワリマテでいられるように教えましょう。
成功へのトレーニング
系統的脱感作といわれる手法を使いましょう。少しずつ慣れさせていきます。駐車場の周りを歩くところからはじめ、止まっている車の周りを歩きます。排気ガス、振動、音、熱気が問題の原因かもしれません。次は、犬を座席に乗せ、飛び降りさせます。この後、安全な環境で、両側のドアを開いてそこを通り抜けさせます。こういった練習に数日かけます。数分ではありませんよ。これはまずエンジンをかけない状態で行いますが、エンジンをかけたらまたこの手順を最初から始めます。犬を排気ガスのそばに近づけないようにしてください。パニックを起こしたりやけどをしかねません。排気ガスに含まれる一酸化炭素中毒に気をつけましょう。
系統的脱感作は逆条件付けとあわせて使うと効果的です(車への関連付けを良いものにする)。駐車してある車のそばを、リードをつけた犬と一緒におやつをあげながら歩いてみましょう。車のシートに大好きなおもちゃや敷物をしいてあげるのもよいですね。車の中でごはんを食べさせるものよいでしょう。車の座席に座り本読みながら、犬を撫でてあげるというのも試してみます。ただこれはエンジンをかけたままだと危険かもしれません。
短いドライブ(一区画以内)に行けるようになったら、車に乗っているんだということから気をそらすため、友達に一緒に乗ってもらうなどしてそちらに注意が向くようにします。ビズィバディ(コングに似たゴム製の穴があいたおもちゃ)の中にピーナッツバターなどをぬって、それに夢中にしておくこともできます。次のドライブはほんの少し時間を長くしてみますが、最後はお友達に会えるとか公園に行けるとか、ドライブスルーでアイスを買って犬にも少しなめさせてあげるなど楽しい経験で終わるようにします。
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