Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.13
2003
報酬に基づくトレーニングの基準選択
 犬に何か新しいことを教える時に、トレーニングをする人間にはとかく決断が迫られます。直感力に優れた人は、いつ何を強化するべきかとっさに判断できます。インストラクターの仕事は、生徒がこういったスキルを持てるよう指導することです。行動の分析はクラスのどのエクササイズに関しても行いましょう。行動を段階に分け、ひとつのセッションの間にどのステップ(基準)を報酬の対象にするかを決定します。その後、飼い主が行いやすい順番に行動を分けるのです。 イラスト

 私はこの夏、ボブ・ベイリー氏による応用行動分析学とオペラント条件付けの15日間コースに参加しました。ボブ・ベイリー氏はこの分野の権威です。以下はそのコースで学んだ基準選択の詳細です。

 基準というのは、トレーニングする人間が定義付けた特定の反応のことです。犬がその基準を達成したら、その反応に報酬を与えます(強化します)。行動には常にひとつ以上の側面があります。オスワリを例にとってみましょう。

〈身体的反応〉オスワリの姿勢でおしりを床につける
〈反応までに要する時間〉キューが出されて、どのくらい短時間でオスワリするか
〈反応の持続時間〉犬がどのくらい長くオスワリをしているか

  一度にひとつの基準を行うようにします。基準を変える時には、強化の頻度をあげましょう。こうすることで犬の集中力を高め、この新しいステップは良い行動なのだということを伝えるのに役立ちます。

◎一時的基準〜完璧を求めない〜
エクササイズのステップ(一時的基準)を素速く上げていくようにします。最終目標まで途中ステップの出来は完璧なものではありません。例えば、「ハイ・ファイブ」を教える過程ですが、最終的な行動を形付けていくために10以上のステップがあります。
 1.片方の前足からもう一方の前足に体重移動をしたら報酬
 2.体重移動プラス床から片方の前足を上げたら報酬
 3.その前足をより高く上げたら報酬
 4.などなど

 ひとつのステップであまりに多く報酬を与えられると、他の行動をみせなくなることがあります。報酬がたくさん出る行動に落ち着こうという判断になるわけです。簡単に言うとこうなります:一時的基準は、今のステップにある行動を加えるもしくは基準を変える前に80%くらいの完成率までしかトレーニングしないということなのです。一時的基準があまりに長い間強化されると、動物は行動を変えることを躊躇するからです。体重移動という報酬の出た行動は「消去」されるのですが、次のステップにうまく移行する前に、それまでの行動が一旦強く現れるものです。

◎不変の基準〜完成形〜
 不変の基準、つまり最終目的ですが、一時的基準よりもその行動をみせる信頼性が高くなるところまでトレーニングしなければなりません。ここで使うのは「円滑」という表現です。言いたいのは犬が、キューに対し適当な反応をみせるか、キューを出していない時は反応しないか、キューに違う反応をしめさないか。さらには行動を素速く起こしているか、そしてトレーニングする人間が決めた他のルールにも従っているかなどが、重要な基準となります。これは例えば腰をくずした形ではなく、両後ろ足をおしりの下にいれているオスワリなどです。このレベルの犬は新しい環境要因が障害になることはありません。

こういったことは、インストラクターにはどういった意味になるでしょう?
トレーニングのスケジュールや宿題の目標は、次の基準の前に課したステップの8割がた出来るように計画をたてるべきです。


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