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シェーピング10の法則
犬をトレーニングするためには、良い基礎を作っておきましょうと、私はいつも生徒に言っています。人をトレーニングするのも同じです。1986年に初めて読んだカレン・プライアによる「Don't
Shoot the Dog(日本語訳:うまくやるための強化の原理)」を、最近再び読み返してみました。2章めから引用します。
カレンの法則はウィットに富んでおり、私の4つのDの法則のもとにもなりました。距離(Distance)、時間(Duration)、多様性(Diversity)、報酬の与え方(Delivery
of Reward)。私の「オスワリ」の教え方を例にとって、カレンの法則をあてはめてみましょう。 |
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1.十分に強化の機会を与えられるよう、基準は細かく引き上げる。
テリーの例:「ひとまとめにせず、細かく分けよう」これはマリアン・ブリーランド・ベイリーから教えられました。報酬により行動がおきるのだから、犬にとって易しい小さなステップになるように、行動を細かく分けることを忘れないでください。最初は飼い主のそばでたった1秒オスワリしただけでも十分です。
2.一度にトレーニングするのはある行動のひとつの側面にする。同時に2つの基準をシェーピングしないように。
テリーの例:距離、時間、多様性という3つの要素ですが、オスワリを教えるうえで距離と時間の要求基準を同時に引き上げるのは間違いです。
3.シェーピングの過程で、基準を引き上げる前に現在の反応を変則的強化のスケジュールに照らし合わせてみること。
テリーの例:ディストラクションを加える前に、素速い近い距離でのオスワリが2ファーズ、3ファーズできることを確実にしてください。
4.新しい基準にもしくは行動の一部分を引き上げる時は、古い基準を一時的に緩める。
テリーの例:犬から距離をとる時は、エクササイズの時間を通常よりも短くしましょう。
5.先に考える:シェーピングのプログラムをしっかりと作っておく。そうすれば行動に突然進歩が見られた時、次に強化するのは何かを判断できる。
テリーの例:目標をしっかり定めておくことは、そこにいたるまでのステップを考えるのと同じくらい大切です。しっかり観察します。犬はそのステップを1,2段階飛び越して進むかもしれません。そんな幸運に備え、ご褒美を与えられる準備をしておくことです。
6.途中でトレーニングする人間を変えないように。トレーニング対象に対し、数人のトレーナーがいても構わないけれど、ひとつの行動をシェーピングするのは担当のひとりを決める。
テリーの例:家族のメンバーそれぞれが、別のエクササイズの担当になりましょう。さらに良い方法としては、家族の誰かにクリッカーの正しい使い方を指導します。子供がフードを与える担当になり、クリッカーは子供の手の届かないところに置いておきます。
7.あるシェーピングの手順で進歩が見られないようなら、他の方法をさがす。
テリーの例:クラスでは行動を引き出すための方法をいくつか紹介します。例えば、a:瞬間をとらえよう(機会をとらえたトレーニング)、b:シェーピング(報酬を与えることにより順に目的の行動に近づけていく)、c:プロンプティング(手や身体の一部を使う、道具、キュー、ターゲット)
8.トレーニングのセッションをむやみに中断しない。これは罰になる。
テリーの例:セッション中は、しっかり犬に注目しトレーニングを行います。これは終わる時にもいえます。途中で電話が鳴っても、その時犬としていることをしっかり終えるまで、数回鳴らしたままになることも覚悟しておいてください。
9.うまくいかない場合には基準を引き下げよう。シェーピング・プロセスの見直し。
テリーの例:4つのDについて考えてみてください。うまくいかない時は、距離・時間・ディストラクションを最小にしてみましょう。報酬の出し方を1ファーに変えてもよいです。
10.できれば、良い時にやめる。
テリーの例:そうです!してはいけない例がこれ「あと一回だけ」。失敗の元です。熱心になりすぎるとつい流されてしまいます。犬が夢中なうちに、そしてうまくいっているうちにやめましょう。ピークを迎えるまで待つ必要はありませんよ。
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