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TAGティーチング
<2004年11月 クリッカー・エキスポ フロリダ州オーランドにて開催>
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Teaching |
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TAG:音の誘導により教えること |
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Accoustical |
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Guidance |
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昨年の秋に開催されたカレン・プライヤのクリッカー・エキスポに出席する機会に恵まれました。3日間のイベントで、初級者から上級者まで出席していました。犬以外の動物のクリッカー・トレーニングに関するセミナーが多く開かれました。私が強く興味を持ったのがTAG(子供にさまざまなスキルを教える方法)です。自閉症や障害のある子供にクリッカーを用いて生活に必要なスキルを教えるケースが多いです。体操コーチが子供にさまざまスキルを指導しているビデオやデモンストレーションを見ました。
私たちには言葉があるのに、なぜ子供にクリッカーを使うのでしょう?
以下は体操コーチであるテレサ・マッケオンが、デモンストレーションで新しいスタッフにTAGティーチングについて説明している時の会話です。この説明を読みながら、自分の犬のことを考えてみてください。
クリッカーにより、正確で明確で一貫性のある言葉によらないコミュニケーション・システムが確立できます。感情や声の批判的なトーンなどは入り込みません。クリッカーは中立的第3者なのです。
まずスキルを“TAGポイント”に分割します。TAGポイントというのは、ひとつの反応(response)行動(action)または位置(position)=RAPを意味します。このRAPが集まって複雑な動きになります。
●コーチはあなたに間違いを知らせ、クリッカーは正解を知らせる!
TAGは正の強化法でしか使えません。クリッカーの音は一瞬でメッセージを送るシステムで、“そう、それだよ”以外の意味は一切ありません。“違う”とか“それじゃ足りない”を伝えるものでは決してないのです。
クリッカーにより正しい反応、行動、位置が出た瞬間をマークすることで、長く記憶にとどまる形で情報が伝わり、それが強化されるのです。クリック音が鳴らないと、生徒には強化したい反応(TAGポイント)が起こらなかったということが伝わります。考えて正解を出しコーチにクリックさせるのは生徒の責任です。コーチと競技者が、良い形でコミュニケーションを図り、同等のパートナーとなるのです。
●成功を導き出すため細かく分割する
複雑な目標を達成するため、教える側は物事を可能な程度に細かく分割しなければなりません。TAGティーチングでは、教える側と教わる側が、ひとつの反応、行動、位置に集中しそれを目指します。これを私たちはTAGポイントと呼びます。TAGポイントは、明確で簡潔であるべきで、その完成度によりイエスとノーの答えを用意しておきます。
このTAGポイントが正しく行われた時、マークするかプラスティックと金属でできているクリッカーと呼ばれる道具でしるし付けをするわけです。TAGポイントが正しく行われない、もしくは行動することもないと、単にしるし付けされないだけになります。しるし付けを受けない場合、生徒は再びトライするか、しるし付けを受けるまで正しい位置を探し続けることができます。3度トライしても、しるし付けできない場合、教える側は難しさのレベルを一段階引き下げます。生徒はすぐに正しい行動をクリッカーの音と結びつけるようになり、クリックの音が条件付けされた正の強化となるのです。
<例>
体操選手:TAGポイント1:逆立ちでつま先をのばす
選手がつま先を伸ばすと、しるし付け(瞬時の情報と動機づけ)されます。「そう、正しくできた!」
つま先を伸ばそうとしていないと、しるし付け(瞬時の情報と動機付け)はありません。「TAGはなし。つま先が伸びていなかったからだ。もう一度トライしよう」
●一度にひとつ
TAGポイントに条件を付けないようにしましょう。ポイントは明確で簡単に得られる形でなければなりません。スキルを学習している間は、一度にひとつの基準のみにしるし付けすべきです。
ひとつのTAGポイントに集中することで、教える側と教わる側の信頼関係と集中を生み出せます。そのスキルを学ぶ上での行動の間違いには注意しておき、その後のTAGポイントに役立てるべきです。
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次回のオリンピックを見る時、競技者たちがクリッカーでトレーニングされたのかもしれないと考えてみてください―あなたの愛犬のように。
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